- 宇野浩二芥川龍之介二十三~(1)
いずれにしても、それだけの、必死の、意気ごみを持って、いざ腰を据えて書こう、と思った時に、(つまり、昭和二年の一月の初めに、)先きに稍〔やや〕くわしく書いた、義兄の鉄道自殺という事件が起こり、そのためにさまざまの事件が次ぎから次ぎと起こつたために、芥川は、「東奔西走」しなければならなくなったのである
- 宇野浩二芥川龍之介二十一~(1)
ここで、私が不思議に思うのは、芥川のような作家が、前にも、ずいぶん乱作をした事があったが、この時も、ひどく健康をわるくしながら、まだ乱作(大いそぎで書くという意味も含めて)をしている事である、というのは、『早春』[大正十四年一月作]は、「保吉物」の一つであるが、単なる思いつきの短篇であり、『馬の脚』[大正十四年一月作]も出来そくないの小説であるからだ
- 心に染み入る「よろこびの木」
こういう場合、親は「そんなことあるわけないじゃないか!?」といって巧く否定しなければならないのだ
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