- 坂道の向こう Ⅸ 九、昌美の皆様への恩返し
あの別れから高校の頃、教わってた武内先生に出会うまでは、本当に一人ぼっちで寂しかったわ」
と、昌美の最後の言葉の中には、 ーお兄ちゃん!あの別れは、たまたまお父さんの、お仕事先が変わったから別れねば、ならなかったのだけど、本当の昌美の心は、いつもお兄ちゃんの側でー
と、言いたかったのだが、昌美にはどうしても自分の体の事、そうして現在の俊彦の目の事を思うと、それは口に出来なかった
- 坂道の向こうⅥ
お前がそんなに言うのだったら、これからママに話してみるが」
と、そのような俊彦に田中は自分の仕事柄か、 「じやあ!今すぐ、ママをこっちに呼んで聞いてくれないか?」 この田中は、学生時代から自分が思いついた事は、直にでも実行をしないと気がすまない質で、俊彦達を慌てさせられたものだが、でも俊彦もあれから数十年経っていて、そんな田中の気性が懐かしいのか、 「公一!そんなに慌てなくても」 「いやあ!こんな事は早い方が良いんだ
- 坂道の向こうⅡ二、私の心のよりどころ
お兄ちゃんと知り会いになって色々な事を教えてもらったわ
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