- リコー杯女流王座戦&下剤
女流棋界にとって歴史的な一局となるかもしれない第1期 女流王座戦 五番勝負第四局。
加藤桃子奨励会1級の先手で角換り相腰掛銀。ただ,後手の清水市代女流六段が右玉に構えるという変わった将棋。先手がうまく戦機を掴んで仕掛け,そこでのリードを失うことなく終盤に。
8一から飛車が回ったところ。▲5四歩 △同飛 の後,▲5六歩と受ければ先手の勝ちだったようですが,▲5五歩と受けました。ために△同金と取られた手が詰めろで大変なことに。先手は詰ますか,飛車を抜いて自玉の詰めろをほどくかしかありません。まず▲7一銀の王手。これは△同王と取るのがよかったのではないかと思うのですが△5三王と逃げました。
ここはたぶん▲6二銀打△6四王▲7三銀不成と追っていけば先手が勝てたのではないかと思えます。しかし実戦は▲4二角から詰ましにいくのを選択。しかしこれは後手玉が詰まずに逆転。後手の勝ちとなりました。
作戦の選択がまずかったのではないかと思うのですが,清水六段が勝って 2勝2敗 。タイトルの行方が決する第五局は来週の月曜です。
- A級順位戦、羽生ー渡辺戦は互角
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △5四歩 ▲2五歩 △5二飛 ▲4八銀 △5五歩 ▲6八玉 △3三角 ▲3六歩 △6二玉 ▲3七銀 △7二玉 ▲4六銀 △3二銀 ▲7八玉 △5六歩 ▲3三角成 △同銀 ▲5六歩 △同飛 ▲3五歩 △同歩 ▲2四歩 △同歩 ▲2三角 △5一飛 ▲5五歩 △4二金 ▲5六角成 △3六歩 ▲4五馬 △2五角 ▲5八金右 △4四歩 ▲5六馬 △3四銀 ▲1六歩 △3三桂 ▲1七桂 △4五歩 ▲2五桂 △同歩 ▲5四歩 △6四桂 ▲6六馬 △4六歩 ▲3八飛 △4七歩成 ▲同金 △4六歩 ▲4八金 △4七銀 ▲3九飛
竜王戦と同様に、順位戦もフリーにすべき
- 王位戦&水曜の迎え
先週で今年の全日程を終了した函館競馬場の近くでの対局となった第53期 王位戦 七番勝負第二局。
藤井猛九段の先手で角道オープン四間飛車。19手目に先手から角を交換し,後手の羽生善治王位は手損ながら8筋の歩を交換しました。
ここで先手は▲7六角と打ったのですが,少しオーバーにいえば早くもこの将棋の勝着となったように思います。後手の△8五歩は飛車交換を避ける意図。先手は構わず▲8八飛で,あくまでも先手の狙いを阻止するなら△9三桂しかありません。そこで先手は▲9五歩とこちらに転戦。△同歩▲同香△9四歩で1日目が終了し,封じ手は▲9二歩。
すでにこの時点で一定の差がついていたのではないかと思えます。ここから香車を取り合う展開になりましたが,後手にはチャンスらしいチャンスがなかったように感じられた一局でした。
藤井九段が 勝利 して1勝1敗。羽生戦は11連敗していたようですが,これ以上ないと思えるような完勝で,自信を得ることができたのではないかと思います。楽しみになった第三局は来月の1日と2日です。
- 王座戦&脳波
月初めまでの棋聖戦の再戦となった昨日の第60期 王座戦 挑戦者決定戦。対戦成績は羽生善治二冠の4戦全勝。
振駒で羽生二冠の先手。こうなれば中村太地六段の横歩取り。△8四飛,中住い,金開きのクラシックな構え。並べていて中盤の折衝は,後手が少しずつ得をしているのではないかと感じました。 羽生二冠 はずっと悪いと思っていたようですが, 中村六段 も自信はなかったとのことで,僕が感じていたほどの開きはなかったのだろうと思います。
この将棋は両者が持ち時間を残す中で,突然の終局となりました。
ここで△3六角と打てば,後手が有望か少なくとも難解でしたが,△8九歩成。このために ▲1五桂 と打たれ,いきなりの投了となりました。▲3一龍が受からないので指すとすれば△5九角▲同王△2六角ですが,▲4八角でも▲3七角でも勝ち目はないでしょうから投了は止むを得ません。▲1五桂をうっかりしたか,△8九歩成を詰めろと錯覚したかのどちらかとしか考えられないのですが,どちらも相当に考えにくく,すごく不思議に思っています。
羽生二冠が 挑戦者に 。前期と立場を入れ替えての 渡辺明王座 との五番勝負は来月29日の開幕です。
- 竜王戦&HbA1c
第25期 竜王戦 決勝トーナメント。 展望 で名前を出した佐藤天彦七段は一昨日が緒戦で,飯島栄治七段と対戦しました。対戦成績は飯島七段が1勝,佐藤七段が2勝。
振駒で先手は飯島七段。佐藤七段は得意の横歩取り。8五飛,5二玉,5一金型で先手も中住いからわりと早めに戦いになりました。
後手が歩を垂らしたところ。ここで先手は ▲4四桂 とただのところに跳ね出し,△同飛に▲3六飛と浮きました。△5五桂▲4八金の交換は入りましたが,角取りは残っていますので△8七角成は仕方ないところ。しかし▲8八歩と打たれると△5四馬と引き上げるほかなく,▲9六飛の大転換が成立しました。
第1図では少しばかり働きに乏しかった飛車が確実に成り込むことができるようになったわけで,ここでははっきりと先手がリード。このまま押し切って勝利を収めています。
- 王位戦&U先生
千日手で指し直しとなった一昨日の第53期 王位戦 七番勝負第一局。
入れ替わって藤井猛九段の先手で四間飛車藤井システム。羽生善治王位は急戦を匂わせつつ一気に激しい戦いとはならないような指し方を選択。駒組から中盤の戦いになりましたが,その時点ですぐに差が開いてしまいました。
飛車角交換から後手が飛車を走ったところ。ここで先手の ▲5五歩 に対して後手は△1五歩。以下,▲5四歩△同銀▲9一角成 △6八飛成 ▲8七角△1六歩 ▲6九歩 △1七歩成▲3九玉△6一龍と進展。
先手は。得で馬を作りましたが変な所に角を打たされ,端も破られましたのでこれはマイナスの方が大きいでしょう。後手も龍をひきつける形になりましたので,すぐに勝ちにいくことは叶いませんが,着実にポイントを重ねていくように指し続け,さらに差は開くばかり。最終盤には至らぬまま,先手が投了に追い込まれました。
羽生王位が 先勝 。第二局は24日と25日。藤井九段の先手です。
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