- 種田山頭火 「酔ひざめの……」2
酔ざめの悔に似たものが星空の下 酔ひざめのつめたい星がながれた 酔ひざめの、どこかに月がある 酔ひざめの星がまたゝいてゐる
- 種田山頭火 「酔ひざめの……」1
酔ひざめの木の葉ちるなりおちるなり 酔ひざめのこころに触れて散る葉なり 酔ひざめの花がこぼれるこぼれる 酔ひざめの春の霜 酔ひざめの闇にして螢さまよふ
- 種田山頭火 「涙」
酒飲めば涙ながるるおろかな秋ぞ しぐるゝや人のなさけに涙ぐむ 涙がこぼれさうな寒い顔で答へる なみだこぼれてゐる、なんのなみだぞ 涙ながれて春の夜のかなしくはないけれど ふとめざめたらなみだこぼれてゐた ま夜なかひとり飯あたゝめつ涙をこぼす 眼とづれば涙ながるゝ人々戦ふ
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