- 種田山頭火「露草……」
露草が露をふくんでさやけくも
つゆ草咲けばとて雨ふるふるさとは
露草咲けりほの白みゆく海よりの風に
露草のつゆけくも右左
露草ひらいた颱風ふきぬけた
露草ほのとううなだれてあり海鳴る夕べ
つゆくさ実をもち落ちつかうとする
- 種田山頭火 「蝉」2
。。。歩めばさくさくと鳴る 蝉もわたしも時がながれてゆく風 。松のゆらぎ蝉しめやかな夕となりぬ ばつたり風がなくなつて蝉の声 夕焼ふかい蜘蛛の囲でさけぶ蝉あはれ
- 種田山頭火 「…なんと…」
雨あがり、なんと草の芽が出る出る 風ふく枝の、なんとせかせか蝉のなく 死なうとおもふに、なんとてふてふひらひらする たまたま髯剃れば何とふかい皺 花菜活けてあんたを待つなんとうららかな 実ばかりの柿の木のなんとほがらかな空 山ふかうしてなんとするどく
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